サイン会は、始まる前から長蛇の列。道を行きかう人は、何が始まるのかという興味津々な視線を向けていました。
柳さんが登場。サインを始める前に、「8月の果て」の生まれる経緯を、スピーカーで並んでいるファンの人たちに説明中。
サイン会を行っている間はずっと、隣のなんばグランド花月から吉本新喜劇のテーマ音楽と、劇場に呼び込みをする声が流れてきていました。
最終日となった大阪には、広島のサイン会に行けなかったのでかけつけたという岡山の人や、サイン会のためだけに香川から出てきたという人、名古屋から来た人など、熱心なファンの方たちが各地から訪れていました。
書けども書けども行列は減らず、ピーク時の最後尾は柳さんが見えない位置に。
行列に並んでいた人たちは中学生の女の子から、柳さんの祖父と同じ陸上の大会に出たというおじいさんまでと、老若男女さまざま。
サイン会を終えた後は、近くのホテルで新聞の取材が二件入っていました。
取材を受ける柳さん。
その後は書店を三軒まわり、店頭に並ぶ本にサインをしていきました。
三軒の書店をまわり終えると、時刻はもう8時になっていました。
一行は少し遅めの夕食をとるために、とあるチェーンの料理屋へ。
その料理屋で「焼きしゃぶ」という鍋を注文したのですが、その鍋に柳さんが大変興味を持ったようで、その鍋を囲んでいた状況もレポートに加えることになりました。
「焼きしゃぶ」という鍋は一度で二つの味が味わえるというもので、あらかじめ石鍋に入っている具をポン酢で食べる前半と、それを食べきった後に違う具を入れてゴマダレのようなタレで食べる後半とに分かれている鍋でした。
鍋を注文してしばらくすると、テーブルの真ん中にカセットコンロと深さが4〜5センチの石鍋が置かれました。中には、小松菜、ハモ、焼肉で出てくるハチノスのような見た目の海草、シイタケなどの具と、しょうゆが含まれているのか少し色の濃いダシが入っていました。ダシは鍋底がかくれる程度の量でした。
鍋とコンロと一緒に、小さな水差しと「焼きしゃぶのおいしいお召し上がり方」という、メモ用紙ぐらいの大きさの紙も一枚ついてきました。
こういう内容です。
焼きしゃぶのおいしいお召し上がり方
1、石鍋が温まったら中火から弱火にしてください。
2、あらかじめ入っている具材が炊き上がったらポン酢でお召し上がり下さい。
3、次にお野菜と一緒に鶏肉、豚肉、牛肉の順番で入れて炒めるように焼きます。
★お野菜はサツマイモが黄色くなったら食べ頃です。
4、お肉とお野菜を一緒にタレにつけてお召し上がり下さい。
★お鍋の水分がなくなってきたら水を足して水分調節をしてください。
(原文の通り) |
で、柳さんが説明書を見ながらコンロに火をつけたのですが、かなりの強火。炎は組立体操の五人扇のような広がり方です。
「ちょっと強すぎませんか?」とたずねると、「温まるまでだから大丈夫だって! それに強くないとなかなか温まらないんじゃない」との返事が。
確かに、強火のおかげで鍋はあっという間に温まりましたが、柳さんが火を弱める気配はまったくなく、ビールを飲みながら鍋をつついて談笑していると、ダシはあっという間に煮詰まり、噴出したての溶岩のようになってしまいました。そこになって初めて「ヤバイヤバイ!」と言いながら水差しの水を鍋に差し、火を弱めていました。水差しの水を半分ほど使うと鍋の中は落ち着いたのですが、ダシが焦げたためか、味は少しすっぱくなったように感じます。
しかし、そんなことは気にせずに鍋を空にしていく面々。おそらく一日の疲れで、ビールの薄いアルコールでも酔える身体になっていたのでしょう。今思うとテーブルについていた人全員が、明らかに飲んだ量よりも高いテンションの上がり具合でした。
壊れはじめた人たちが鍋を空にすると、店員さんが肉と野菜を持ってきてくれました。
肉類は鶏肉、豚肉、牛肉が皿を覆い、野菜類はキャベツ、モヤシ、ネギ、押し出した麺のような状態のサツマイモ、ニンジン、ゴボウが深めの皿の上で山となっていました。
そしてその山となった野菜を、お酒で頭のネジがはずれだした人たちは、すべて鍋に放り込んでいきました。比喩でもなんでもなく、本当に放り込んでいました。
なぜそんなことになってしまったかといいますと、記憶に残っている会話の中に「これ、野菜を最初に食べてから次に肉らしいよ」というものがあるので、おそらく説明書の「一緒」という言葉を、誰かが「最初」とまちがえたのだと思います。しかも、みんなでその説明書を回し読みしていたにもかかわらず、誰もその指摘をしませんでした。
そのあと、おなじく記憶に残っている会話の中では「どうせ野菜を食べきらないといけないんだから、全部入れちゃえ!」という柳さんの号令があることから、そのようなことになってしまったのだと思います。
その場のアルコールのまわり具合がうかがえることかと思います。

野菜をすべて鍋に移しかえると、柳さんはその山盛りの野菜のある風景が気に入ったようで、「このことを、こと細かにレポートに書いてよ」と告げ、参考資料として説明書を渡されました。
鍋は野菜の量を減らすために火を再び強火にし、少しでも火の通りを同じにしようと、全員で下の方の野菜を上に積み上げていったりしていました。口ではヤバイヤバイと言いながらも、顔はみんな満面の笑み。おもしろがって野菜を上に積み上げていました。
ですが、野菜を積み上げるだけで上から押さえるといったことをしなかったので、ジェンガのようにくずれて、鍋の外にキャベツやモヤシが数本とびだし、店員さんたちにはテーブルの横を通るたびに「お客さん、それは入れすぎです」と、たしなめられる始末。
それでも、余分な野菜を皿に戻すというようなことはせず、おまけに強火にしたのが災いして野菜が鍋底にくっつきはじめ、あわてて水を差してもくっついた野菜は取れず、上の方の野菜がベタベタになっただけで、家で作った焼きそばのような状態になってしまいました。
そんな状態のものでもタレにつけて食べると、割とおいしかったです。
そして、はりついた野菜の上で肉を焼き、食べて、鍋は終わりました。
(注)ここに出てきた食べ方は、変な人たちが行った変な食べ方です。
もし、焼きしゃぶがあるお店に行く機会があれば、皆さんは普通にお召し上がることをお勧めいたします。
Text&photos by La Valse de Miri取材班
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