── 柳さんを最初に知ったのは映画の『命』でしたよね。
奥田 『命』が映画化されるって聞いて原作を読んだのがきっかけです。

── 『命』以外にも読んだ本はありますか。
奥田 はい。『男』は夜ベッドの上で読んでいたんですけど、ちょっとエッチな気分になりました(笑)。 あと『交換日記』、『水辺のゆりかご』、『ゴールドラッシュ』、『私語辞典』とか。結構読んでいます。 『水辺のゆりかご』は一番好きかな。
私、本ってあまり読まなかったんですけど、こうして読むようになったのは柳さん自身に興味を持ったからでしょうね。

── 実際に会ってどうでしたか。
奥田 本を読んだときの印象は、本当に自分に似ているなっていうことだけだったんです。実際に会ってみたら二人とも緊張していて、お互い話すのも苦手で…。話すのが苦手だからお互い書いているし、歌っているんです。
でも柳さんってきっと皆が思っているより明るい方ですよね。私も怖そうとかよく言われるけど、実際そんなことないですし。
ただ柳さんは身を削って書いていて、生きる事に本気なんだっていうのは感じます。柳さんの手って見た事ありますか? 柳さんって手がすごく華奢な人なんですよ。その華奢な手で身を削りながら書いているんだと知った時に、柳さんの強さと弱さを感じました。

── 柳さんはつらい事は書いていく上でプラスになるんだと言われて、書くことを始めたそうなんですが、柳さんとの出会いで奥田さんは何を感じましたか。
奥田 3年半の間、歌うことを休んで自分の居場所が無くなりかけていたところに手を差しのべられて、また歌うことができ、やっぱり私は歌うことでしか生きていけないと感じました。つらい事もあったし、つらい恋愛もしたから、私は今ここにいて柳さんとつながって歌っているっていう感じです。
私が歌うのは、臆病な自分に負けたくないっていうのがあるんですね。歌があるから今の自分が自分でいられる。歌がなかったら今も『ブランコに揺れて』状態です。だから柳さんと出会って、そういう事を言葉にしてもらって、それも全部消化して歌にぶつけられているので、あたしにとって柳さんとの出会いはやっぱり大きなものですね。
 
── 柳さんが前に言っていた「自分の抱えている闇で他の人の闇を照らしたい」という言葉がすごく印象に残ってるんです。だからなぜ奥田さんが柳さんに目を向けて、柳さんも奥田さんに目を向けたのかっていうのがわかる気がします。
奥田 私も歌で闇を抱えた人達の力になりたいです。それはあたしにとっては歌であり、柳さんにとっては書くことであるんですけど、それを聴いてくれる方たちに感じてもらって、希望みたいなものを持ってもらえたらと思います。

── 柳さんは表現しなければ生きることが出来ない人だと感じられますが、奥田さんもそうなんですね。
奥田 柳さんにも「奥田さんも私と同じように表現しなければ生きていけない人だと思った」と言われました。私は歌い、柳さんは書く。歌う事と書く事は違うけれど、向かっているところは一緒なんじゃないかと思います。

── 歌が出来上がるまでについて聞かせてください。詞はすべて奥田さんが柳さんに書いた手紙から成っているんですよね。その手紙の内容を教えていただくことはできますか。
奥田 そうですね…。幼い時の自分のこととか、今まで経験してきた恋愛とか、学校生活はどうだったとか。あと両親の離婚のことや、三年半休んでいる時の私の歌への想いとかです。それまでの自分の全てを書いたという感じですね。
私の中で『はばたいて鳥は消える』っていうのは、手紙の全てが凝縮されて柳さんの言葉で生まれ変わってできた作品だと思っています。

── 柳さんに宛てた手紙を、自分でそのまま詞にしようとは思いませんでしたか。
奥田 詞を書きたいというのはずっと前から思っていました。でもその時は言葉を知らなくて、うまく形に出来なかったんです。それで、言葉の中で生きている柳さんなら私が言葉に出来ない部分を詞という形にしてくれるんじゃないかと思って手紙を書きました。
近い将来は詞も書きたいとは思っています。今は心に響いた言葉や、気になったことをメモに書いたりしています。





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  Contents
1: 出会い
2: 曲ができあがるまで
3: 歌の世界












奥田美和子
青空の果て

  作詞:柳美里
01 青空の果て
02 ブランコに揺れて
03 青空の果て
(Instrumental)


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