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2004年10月28日
沈黙する不幸……消滅したわけじゃない……
風邪の悪化もあるが、わけがわからないモノにとり憑かれて一睡もできなかった。
起きあがることもできない。
窮屈。
柩に寝かせられたみたいに。
絶対的な孤独感がのしかかってくる。
爪を立てる。
引っ掻く。
これは、幼稚園のころからの癖。
その場にいたたまれないときに頭に手がいって、気がつくと引っ掻いている。
髪が何本抜けても、血が滲んでも、止めることができない。
朝起きたら、頭じゅうひりひりして、ブラシでとかすことができなかった。
カレは眠っていた。
なにも気づいていない。
朝、髪のこんがらがったわたしが気が違ったようにブラシを捜し、「もうッ! なんでいっしょに捜してくれないの? ブラシが見つからなかったら、なんにもできない。1日中ブラシを捜しつづけるんだよ!」とヒステリックに騒ぎたてると、大きな溜め息を吐いて捜しはじめた。
(結局、ブラシはウッドデッキにありました。最近、具合が悪くて、走れないんです。で、ウッドデッキに座って庭の枯れ木を眺めながら髪をとかすのが唯一の気晴らしなんです)
息子はわたしの精神に感応する。
明け方、4時過ぎだったと思うが、頭を掻き毟るわたしの右手をつかんで、
「ママ、ずっといっしょ?」と息だけの声で囁いた。
「起きてたの?」わたしも息だけの声。
「うん……ママ、ずっといっしょ?」息子はわたしがしゃべるのを確認するために、わたしの唇の上に手を置いた。
「いっしょだよ……タケのお顔はどこにある?」
「ここだよ」息子はわたしの額に額をぶつけた。
「暗いね」
「朝はまだ?」
「まだだよ」
暗闇のなかで数分間、カレのいびきを聞いていた。
「わかんなくなるから、手ぇつなごうか」息子は小さな手でわたしの両手を合わせて包み込もうとした。
顔と顔のあいだに、共に祈っているようなふたりの手がある。
互いの息が互いの顔にかかる。
息子はうつらうつらしながらしゃべりつづけた。
息子のおかげで、4時過ぎから7時までの3時間、頭を引っ掻くのをやめることができた。
幼稚園に行く息子の目は、寝不足で真っ赤だった。
投稿者 柳美里 : 2004年10月28日 21:10
コメント
美里さん、
子供って、天使なのか悪魔なのか、
子育ては、地獄か天国か、いえ、
両方の経験が出来ますね。その間もあり、
だから、二元論では語れません。
母親も、鬼になったり聖母になったり、
人間は多面体だって、よく分ります。
体調の悪い時は、当然、気持ちも良くない。
気持ちが良くないから、体調が悪くなるのか。
病は気から、ってある意味本当です。
投稿者 Y.M.H : 2004年10月28日 22:58
丈陽くん、宝ですね・・・。
彼だからこそ、ほかの誰でもない美里さんのもとへ、
生まれてきたんですね、きっと・・・。
不思議な、いとおしい縁ですね・・・☆
投稿者 さくら : 2004年10月29日 00:38
決して言葉に出さなくても、丈ちゃんと通じている。丈ちゃんもまた、感じている。
関係ないかもしれないけど、「見えないものを信じる強さ、見えるものを疑うその弱さ・・・」と言う歌詞の出てくる歌を思い出しました。
あたくしの次女は、頬っぺツルツルのピッチピチで、あたくしの首筋にピッタリくっつけて寝ていたけど、今では、あたくしが次女の頸に動脈を感じながら“すがるように”寝ています。 夏は暑すぎて出来ませんが・・・・
柳さん〜お医者様はなんて?
投稿者 sachiko : 2004年10月29日 17:20