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2004年10月26日
カコナール
絶叫して目を開けると、斜光カーテンの上の隙間から伸びている円錐形の光が薄青くて、あわてて時計をつかみとると、14:00前だった。
絶叫でほとんど砕け散ってしまったけれど……夢をみた。
東さんと車に乗っていた。
外は暗い。
わたしは息子と彼の待つ家に帰らなければ、と内心焦っている。
東さんは、わたしのこころを見透かしたように、今日はA(東さんの若いカノジョ)と横浜のホテルに泊まる、という。
場面が飛んで、劇場の楽屋(真っ白な壁、真っ白な床、真っ白なテーブル、真っ白な椅子)に妹とふたりきりでいる。
妹は椅子と椅子をくっつけて、その上に横になっている。
そろそろ出なきゃいけない時間だから、起きな! もうだれもいないじゃん! ほら、もうすぐ電気消されちゃうよ!
いくら声をかけても、妹は起きてくれない。
……そのあと、なにかがあった……絶叫するようななにかが……思い出せない……。
実は(というほどのことじゃないけど)、一昨日から(たぶん風邪で)ダウンしている。
送り迎えできないから、幼稚園は休ませた。
つくることができないから、「また、外食かぁ。ぼく、外食なんて大っ嫌い! おうちごはんがいいなぁ」
とごねる息子に、「カプセルプラレールのガチャガチャを3回やらせてあげる」と取引を持ちかけ、1日1食(昼か夜)は外食にしてもらっている。
買物行って料理するエネルギーも結構なもんだけど、自転車で店まで行って傍若無人に振舞う息子を叱ったりおだてたりしながら食べさせていると、やっぱり<おうちごはん>のほうがよかったかも、と深く後悔する。
カコナールを服用している。
カコナールには眠くなる成分が入ってないから。
つまり、原稿を書かなきゃならんわけですよ。
風邪でも締め切りはやってくるわけですよ。
だけど、とても、起きあがれない。
喉の痛み、鼻水、咳、くしゃみ……熱はどうなんだろう……左耳が聞こえにくい……カコナールが効くのは風邪の初期症状で……これはもう初期じゃないだろうなと思うけれど……書けなくても一応臨戦体制でいなくちゃいけないから、他の風邪薬は飲めないんですよ。
で、さっきから、昨夜、彼に買ってきてもらったカコナールを捜してるんだけど、これが、見つからない。
わたしはいつも何本飲んだか忘れて、あれ? ビンが4本も空いてるけど、自分飲んだ? なんてことになるから、先手を打って隠したんだろうけど、チキショー! どこに隠しやがった!
今朝、彼が学校に出るときに、
「カコナール、1箱しかないけど、どうした? 3箱買ってっていったじゃん」といったら、
「買ってあるよ」といい、
「どこにあるの?」と訊いたら、
答えずに出て行ってしまった。
バカヤロウ!! カコナール、出しやがれぇぇぇぇぇぇ!!
とヤク中のように吠えてみても、風邪はよくなりません。
とりあえず、横になりますね。
カムバッグ、ベッド……カムバッグ、悪夢……
投稿者 柳美里 : 2004年10月26日 14:54
コメント
風邪が流行っているようです。調子の悪いときに限って、大事な仕事があったりする。なぜなんでしょう?なんだか、うまくできてませんね。でも、それが人生、とも言う。そんな感じがします。予期せぬ事が起こることが人生なのかも。
投稿者 rf : 2004年10月26日 16:19
予期せぬ人生って、その通りですね。
私も、かなり波乱万丈。今は仕方なく
専業主婦ですが、7年前から、東さんと
似たような病気で闘病中。毎月通院、
検査です。今週から、抗がん剤の
治療開始になっちゃって、凹んでます。
幸い、凹んだ〜、嫌だよ〜と言って、
甘えを許してくれる家族、友人、ガン友、
親戚、医者達がいます。主治医は
私には神にも等しい存在です。
柳さん、子育ては大変です。うちは娘が
19才、昨年大学に入って、ほんと楽になった。
同じように大変な思いを抱えている人は
いますよ。がんばれって言葉、好きでは
ないけれど、風邪、早く治ると良いですね。
どうぞ、お大事に。
投稿者 Y.M.H : 2004年10月26日 17:48
Y・M・Hさん
今週から抗がん剤治療を開始するというかたに、ただの風邪で励ましていただいて……言葉がありません。
ご病気が完治するよう、ひたすら祈っています。
投稿者 柳美里 : 2004年10月26日 18:14
柳さん、いえ、美里さん、
(先輩の特権で、こう呼ばせて下さいね、笑)、
レスをいただき、感激で、心が震えてしまいました。
お気遣いありがとうございます。心配なのは副作用。
でも今は随分と改良され、以前ほどひどくはない、
とは思います(期待しています)。数年前の再発の
時に、ひどい副作用だったので。
祈る、という言葉、美里さんから聞くと、少しは
あの学校も、役に立ったのかしら、それなら良い
んだけど、と感じます。母校の有難さが分かった
のは、私も随分と経ってからでした。
一度、是非、クリスマス礼拝に参加してみて下さい。
なかなか、いいもん、ですよ。
ちなみに、私もハレルヤはアルトパートでした。
そして、私も男性の前で低い声のまま、です(笑)。
投稿者 Y.M.H : 2004年10月26日 20:36
Y・M・Hさんへ
わたしも、共立のことは懐かしく思い出します。
石川町駅のホームで、あの制服を目にすると、胸がどきどきします。
人生がやり直せるなら、なんて考えることは滅多にないんですが、中退してしまった高校3年間をやり直せたらなぁ、とときどき考えます。
教員として、共立に戻ったひとはいるんでしょうか?
しかし、教員にはなれないしなぁ……。
抗癌剤が劇的に効けばいいのですが……。
投稿者 柳美里 : 2004年10月26日 21:03
美里さん、
またまたレス、なんか、感動の嵐です(笑)。
2時間ほど前に、英語のY先生と電話で話した
ばかりで、その時も美里さんのHPのことを
話したら、まあ〜(口癖、笑)、あなたも
柳さんが好きねえ〜、と言われました(笑)。
だって、可愛い後輩ですもの〜とお答え
したんです。勝手に可愛がってすみません。
国語のA先生、亡くなった理科のH先生も、
教えていただきましたよ。私の時代の
先生方は、皆定年退職なさいました。
校長も、ケンタのおじさん(笑)のJ先生
から、もう2~3代目だと思います。
私の同級で、母校に戻っている人はいない
と思います。私は教育実習には戻りました。
美里さんの同級の方は、どうかしら。
同窓会に住所を連絡すれば、会報を送って
来ますよ。
もし美里さんが国語の教師として戻ったら、
どんなに面白い授業になるでしょうね。
赤襟の制服、本当に懐かしいですね。
取って置けば良かったです。
いつか、同窓会で御会い出来れば、嬉しいです。
投稿者 Y.M.H : 2004年10月26日 21:36
柳さん、お風邪いかがですか?最悪の体調になっては
いませんか?二度の台風、遠足、育児その他で、かなり
疲労がたまっていたのでは?
暖かくして、にら、にんにく類を食べてお大事にして
下さい!!
PS:“学校へ行く彼”って!?
Y.M.Hさん>7年も闘っているなんて・・・
前向きなあなたを尊敬します。
お嬢さんも大学生になられて、病気をかかえながらの
子育て大変でしたか?それとも皆さん協力的でしたか?
頑張っている母親の姿を見て育った子は、きっと優しくていい子なんでしょうね。
あたくしも人事ながら、何のお役にも立てませんが
治療の効果がありますようにお祈りいたします!!!
投稿者 sachiko : 2004年10月27日 10:00
sachikoさま:
初めまして。お目にかかった事もない方に、
暖かい言葉をいただき、ちょっと凹み気味の
私は、涙が出る思いです。有難うございます。
初発は娘が中学1年。絶対に死ぬ訳にはいかない
という一念でした。再発時は、高校2年。修学
旅行の準備が出来ず、友人にお願いしました。
その後大学受験も無事に通り過ぎました。
その時、余命がない、と言われたのに、今、
3年経っていますが、治療のおかげか、奇跡か
薬を飲みながらも、生活は普通に出来ます。
主治医は奇跡だ、人の身体は不思議だ、と
言っているそうです(看護師談、笑)。
娘には大変、つらい思いをさせました。今も
そのことを思うと、涙が出ます。病気の本人
より、患者の家族の方がどんなに大変か、
ですから、美里さんのお気持ちはよく分る
つもりです。
夫も当時、中国駐在でしたが、主治医の、
奥さんはもう長くないから、戻って来て
看病してあげなさい、という言葉で、
仕事より妻だ、とリストラ覚悟で
国内勤務にしてもらいました。
幸い、理解のある会社で、今も中国関係の
仕事で、行ったり来たりです。
抗がん剤を使うと言う事は、どこかで再発の
可能性がある、ということです。娘はその事
だけで、心が大きく動揺します。反対に夫は
呑気で、え〜、もう健康そのものだと思った
と、随分と的外れな事を言ってくれます(苦笑)。
見た目は、まったく病気と分りません。
いろいろと、活動もしていますし。
でも崖っぷち人生と思っています。いつも
危ない橋を渡っている感覚でしょうか。
だから好きな言葉は、今を生きる。
Seize the day.ラテン語のCarpe diem.
長々と、ごめんなさい。
美里さん、暖かいものを食べて、養生して
下さいね。
投稿者 Y.M.H : 2004年10月27日 15:00